


半導体プロセスは、緻密な作業のリレーです。薄膜の形成ひとつとっても、わずかな誤差のために仕様で求められた性能に至らないことがあります。微細な回路パターンを焼き付けるリソグラフィでは、マスクやレンズ、ウェーハの位置決めにわずかなズレが生じるだけで、出荷基準を満たせなくなってしまうほどです。このように技術的に繊細で難度の高い工程が連続しているために、新しく製造プロセスを立ち上げても、スタート時点では、数割程度の歩留り(製品の良品率)というのが一般的なレベルです。
そのなかで、プロセス全体を横串に捉え、不具合の原因がどこにあるかを解析し、問題のプロセスを切り分け、製品の性能向上に向けた活動を統括するのがプロダクトエンジニアです。
日本本社におけるプロダクトエンジニアは、開発グループと量産グループに大きく分かれます。
開発グループでは、新規テクノロジおよび新規デバイスの開発を担当します。微細化が進んだ高容量のテクノロジで製造コストを低減し、最新の性能をそなえたデバイスでお客様(セットメーカーなど)の製品の高機能化に貢献しています。市場要求に見合ったテクノロジならびにデバイスを、お客様の希望する納期までに、開発するのが大きな役割です。量産グループは、前工程・後工程試験における改善を実行します。ここでの“改善“には2つの意味があり、ひとつが信頼性確保、もうひとつが、コストダウンです。品質向上のために製品の良不良を試験で選別しますが、コストや生産性との兼ね合いで、必要以上に不合格にしないように試験内容の緩和や試験時間の最適化を図ります。量産時の様々な事象に対して、追加評価内容を決定したり、出荷判定を行う事も量産グループの仕事です。
一方、製造拠点である会津事業所では、主に前工程おける歩留り向上と、書き込みスピードやデータ保持特性などの特性評価や信頼性評価を実施します。
新技術に携わるグループは、試作デバイスをさまざまな角度から評価。製品の出来上がり具合を電気的特性などによって確認し、目標性能から逸脱するデータを発見した場合は、問題の本質を追求し、設計およびプロセスへフィードバックをかけ、性能向上を図ります。
量産にかかわるグループは、迅速な安定生産への移行と、歩留りの継続的向上を目指し、検査などの関連コストの削減にも注力します。パターンの微細化が進む中で、数十nm程度の微小な欠陥やわずかなプロセスのゆらぎが、デバイスの特性や歩留りに影響をあたえるため、昨今ますます発見や管理が厳しくなっています。しかし逆に、課題が難しくなればなるほど、取りこぼしなく不良を見つけ、改善の成果をあげたときの喜びも大きくなります。大きな達成感は、改善をリードする一番のエネルギーとなります。一歩引いて物事を俯瞰できるクールな視点と、課題解決に先陣を切ってあたる情熱のふたつを内に秘める技術者、それがプロダクトエンジニアです。